PBR (株価純資産倍率:かぶかじゅんしさんばいりつ)とは?
ざっくり概要
PBRは英語の Price Book-value Ratio の略になり、日本語だと株価純資産倍率(かぶかじゅんしさんばいりつ)といいます。
株価純資産倍率は、現状の株価が割安か割高かを判断するための指標の1つで、今の株価が直前の本決算期末の「1株当たり純資産」の何倍になっているかを示しています。
表示は「○.○○倍」となり、「1倍」を割って「0.85倍」や「0.73倍」などになっていると割安、「1倍」を超えて「3.28倍」や「7.23倍」などになっていると割高の目安になります。
ただ目安なので、PBRの倍率だけで割安・割高と決めつけることはできず、他の指標やその会社の規模や業種、株式市場全体の状況などによって見方が変わるため、あくまでも指標の1つです。
より詳しく
株価純資産倍率の計算方法
株価純資産倍率は、時価総額を純資産で割るか、株価を1株あたり純資産( BPS )で割ると計算することができます。
ただPBRや PER などの指標は、証券会社のサービスでサイトやアプリに計算されて表示されています。
トヨタ自動車(7203)の2023年2月17日の終値で見てみると、
Yahoo!ファイナンスの場合は「詳細情報」の右下に表示されて、
SBI証券のスマホアプリだと、「銘柄詳細 > 企業情報」の中に表示されています。
計算式を覚えて自分で計算しなくても、計算後のPBRを表示してくれているのが普通ですが、仕組みは知っておいたほうがいいです。
株価純資産倍率は「解散価値」
株価純資産倍率は「解散価値」とも呼ばれていて、仮に、ある会社が今すぐ事業活動をやめて解散して資産を分けた時に、株主に分配される資産が株価と比べてどのぐらいかがわかります。
この場合の資産とは、企業の借金をすべて返して、残った土地や工場、設備、有価証券などを売って現金にしたときに残る金額のことになります。
したがってPBRが1倍ピッタリの時は、株価=解散価値となります。
極端な話だと、PBRが1倍を割っている会社の株を持っている時は、会社を解散してもらったほうが利益が出ることになってしまいます。
この時に1,000円で株を買って、この状態で会社を解散して資産を返してもらえば、2,000円返してもらえるので倍になるって感じ。
ただ、普通ならば会社の価値は純資産以上(PBR1倍以上)になるはず(お金換算できない技術力やブランド力などが会社にはあるはず)なので、PBRが1倍以下の会社は、まともな会社であれば何らかの理由で割安になっていると考えることもできます。
そのためPBRが1倍以下の株価は割安と考えられます。なぜなら、いずれPBR1倍以上になっていくはずと考えるのですが、そうなっていない業種や大手企業が色々あったりします。
東京証券取引所が「PBR1倍割れで改善策要請」
2023年3月31日、ついに東京証券取引所がプライムとスタンダードの2市場に上場するPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る約3300社に対し、資本コストや株価を意識した経営に取り組むよう求める通知文を出しました。
同日、株式会社東京証券取引所 上場部の名前で「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」という資料も公開されました。
これによって突然株価が上がっていくことはないと思いますが、中長期的に対策が講じられていって株価が上昇するのを期待したいですね。
PBRが1倍以下が割安とは限らない
ところがPBR1倍以下の会社の株を買えば、大儲けできるかというと違います。
先ほどの東証の資料によると、PBR1倍以下の会社がプライム市場・スタンダード市場にはたくさんあります。
プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場会社がROE8%未満、PBR1 倍割れ
一時的に何らかの理由で、株価が暴落してPBR1倍以下になった会社は別として、長期間PBR1倍以下が続いている会社は、株価上昇となる理由がなく何かしらの問題を抱えている可能性があるので、いずれ倒産してしまう会社の可能性もあるそうです。
PBRが低くて超割安だ!と思って買ったものの、実は潰れかけの会社だったので、PBR1倍以下で株価も下がっていただけで、買った株がただの紙切れになってしまったら元も子もないです。
なぜPBR1倍が以下なのか、ちゃんと理由を考えてから投資しないと痛い目を見ることになってしまいます。
PBRを利用するために確認すること
PBRを売買の指標として利用しようとする場合は、「同じ業界の他社」「その会社の過去」と比較したほうが安全です。
同じ業種の会社を比較する
東証に上場している会社は4,000社弱ありますが、業種によってPBRの平均値が違います。
各業種の平均データは、東証サイトの「その他統計資料」で確認することができます。
最初にみた「トヨタ自動車(7203)」で見てみると、業種は「17 輸送用機器」になりプライム市場に上場している企業は50社、平均PERは13.9倍、平均PBRは0.8倍(2023年3月のデータ)になっていました。
このPBRをベースに、各会社を調べて見ると「トヨタ自動車(7203)」はPBR1倍以下ですが、同じ業種の別の会社と比較するとちょっと割高ですね。
というか、自動車会社の中ではPBRは高いほうなんですね。
ちなみにSBI証券の「銘柄比較(web版)」を利用したのですが、6社を同時に比較できるので便利です。(アプリだと比較できるのは2社)
過去と比較する
同じ業種で比較してみると、「トヨタ自動車(7203)」のPBRは高めの方でしたが、過去がどうだったかも確認しておいたほうがいいです。
上場会社は、投資家向けにIR情報を公開しているので「有価証券報告書」を見ると、確認できます。
TOYOTAの最新版が「2022年3月期」だったので、アーカイブからPDFを開きます。
最初に目次があるのですが、【主要な経営指標等の推移】の部分に、
【1株当たり純資産額 (円)】がありました。
5年分が公開されているので、それぞれの期に合わせて3月末終値をYahooファイナンスのチャートで株価を調べて表にしてみました。
回次 決算期 |
第114期 2018年3月期 |
第115期 2019年3月期 |
第116期 2020年3月期 |
第117期 2021年3月期 |
第118期 2022年3月期 |
---|---|---|---|---|---|
1株当たり 純資産額 (円) |
794.54 | 845.11 | 875.44 | 969.55 | 1060.16 |
3月末終値 (円) | 1365 | 1297.4 | 1300.2 | 1723.2 | 2222.5 |
PBR (倍) | 1.71 | 1.54 | 1.48 | 1.78 | 2.10 |
ただ、、これで計算したPBRだと、他のサイトに出てくるPBRと違い「0.7」程度プラスされているんですよね。。。なぜだろう。。
PBRを表示しているサービスによって、微妙な違いがあったりするのですが、「0.7」だと誤差の範囲を超えている。。。。
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